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トップランナー紹介

和郷園 木内博一氏

Update : 2018.07.05

日本の農業を改革!6次産業化に挑む農業集団

千葉県香取市を拠点に地域の生産者と連携し、「農業の6次産業化」に挑む企業がある。株式会社 和郷(農事組合法人和郷園)。その取り組みは、およそ30年前、わずか5人の産直仲間の集まりとしてスタートする。そこには、農業生産者として自立を成し遂げたいと願った木内代表の思いがあった。

木内代表(就農当時)

しかし、木内代表が就農して間もない1991年頃、大きな問題が起こる。これまで父親の時代の農業というのは需要の方が供給を上回っていた。ところが、木内代表の就農当時の農業は供給が需要を上回ろうとしていたのだ。供給過剰になれば、いくら生産しても原価すら担保できない状況に陥る・・・。

そんな危機感の中で木内代表は、「売り先を決めてから野菜を作る」という、市場だけに頼らない契約取引(受注生産)を始める。

ターニングポイント
マーケットインの発想で冷凍・カット野菜を販売

追求したのは、顧客のニーズに応える「マーケットインの発想」。木内代表は、旬の野菜を365日、安定した価格で消費者に供給するために、旬の野菜を冷凍して販売。食品を低温に保つ物流方式「コールドチェーン」を他に先駆けて開始する。さらに、核家族化や女性の社会進出といった変わりゆく消費者のニーズに対応するため、野菜を小分け・カットして販売する新たな事業にも乗り出した。

左写真:冷凍・カット野菜商品 右写真:カット野菜工場

“和郷園流”ビジネスモデル①
日本で先駆けて農業生産工程管理を徹底

木内代表が重要視したこと。それは食品の安全を確保するために、生産段階から消費段階までの流通過程を明確にする「食品トレーサビリティ」だった。その過程で、消費者が危惧をしているのは、農薬の使用や土づくりにおける化学肥料のことであることを知る。

「安全な農産物を提供するためには適切な農場管理をすることが不可欠である」木内代表は、そう呼びかけ続けた。そして2006年、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる日本において初めての全国統一の認証基準である特定非営利活動法人日本GAP協会設立に参画、木内代表が初代理事長に就任。この「JGAP」は、現在、和郷園をはじめ、多くの農場で普及している。

JGAP認定証

“和郷園流”ビジネスモデル②
野菜残渣をリサイクル!自然循環型農業の確立

さらに生産過程の「もったいない」に着目し、廃棄野菜や野菜残渣を自社のバイオマスプラントでリサイクルする自然循環型農業に取り組む。従来は捨ててしまっていた野菜残渣などを液肥化し、その液肥を使って、地域の加盟農家が再び野菜を作るという自然循環型のビジネスネスモデルを確立した。

バイオマスプラント

“和郷園流”成長戦略①
農村の多様性×都心の人々のニーズにマッチした農園リゾート

6次産業化をさらなる次元へ。木内代表の新たな挑戦が、都心で暮らす人々のニーズにマッチした「農園リゾートTHE FARM」。和郷のグループ会社である株式会社 ザファームが運営する滞在型複合施設で、コテージや温泉、バーベキュー施設などを完備。会員制の貸農園や収穫体験エリアなど農業と触れあえる施設も充実している。また、訪れる観光客によって地域の活性化にも寄与。地元への還元にも貢献している。

左上:ザ ファーム キャンプ(グランピング) 右上:ザ ファーム コテージ 左下:貸農園 右下:コテージ室内

“和郷園流”成長戦略②
農業×工業を融合させた次世代大規模施設園芸事業

株式会社 福井和郷が手がける「ファーム&ファクトリー若狭」は、伝統的な農業と最先端の工業技術を融合させた次世代型の大規模植物工場。

この植物工場は、気候に左右されないで安定的に野菜を生産することができる上、食の安全という面でも、大きな役割が期待できる。土で育てないLED植物工場は、畑の土で育てた野菜と違って洗浄する必要がなく、生産の段階で既に菌数の基準をクリアしている。結果的には生産コストを抑えることもできるので、価格競争の面でも優位性が保てるのだという。

写真:ファーム&ファクトリー若狭

日本の農業を牽引してきた木内代表

「軌道に乗るまで10年以上かかったが、我々が正しいと思ってやってきた取り組みが、段々と受け入れられていった」と木内代表は語る。

培ってきた和郷園の精神を継承するため若い世代の育成にも力を注いでいる。「農業の現状を知って、日本の農業を変えたいと思い和郷に就職した」「業務内容が幅広いので様々な事に挑戦できるし経験を積める」と目を輝かせ未来を語る若い新入社員たち…。農業生産者の自立を目指し、走り続けてきた木内代表、和郷園の取り組みは次世代へと受け継がれていく。

農場研修を受ける和郷の新入社員たち

木内博一氏プロフィール

農林水産省農業者大学校を卒業後、家業である木内農園に就農。1991年有志4名とともに野菜の産直を開始。1996年、有限会社和郷を設立(2005年に株式会社和郷に組織変更)。1998年、農事組合法人和郷園を設立。2016年に明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科を修了。著書に『最強の農家のつくり方~農業界の革命児が語る究極の成長戦略~』、『「結農(ゆいのう)」論  小さな農家が集まって70億の企業が出来た』がある。

「株式会社 和郷 (農事組合法人 和郷園)」データ

年  商: 和郷 50億円(グループ合計 90億円)
従業員数: 和郷 約200名(グループ合計約500名)
和郷園HP: http://www.wagoen.com/main.html