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トップランナー紹介

グリンリーフ株式会社 澤浦彰治氏

Update : 2019.12.20

有機野菜で6次産業化を実現!人々を幸せにする「感動農業」に邁進

群馬県・赤城山麓に位置する昭和村は日本有数のこんにゃく芋の生産地。この地に、有機野菜で6次産業化を実現したグリンリーフ株式会社がある。この農業生産法人をリードするのは、澤浦彰治社長。事業のターニングポイントは90年代初頭。農産物の価格下落による収支悪化だった。

ターニングポイント
自分で価格を決める農業を目指す

高校卒業後、迷いなく農業の道に進んだ澤浦氏だが、農業に関するさまざまな疑問が浮かび上がった。そのひとつが農家はなぜ作物の値段を自分で決めらないないかということ。
「農産物は他人が値段を決めてしまって、自分で値段を決められなかったんです。自分で値段を決められない農業では未来がないと思い、値段を決められる農業を目指すために加工を始めました。」と澤浦氏は語る。

グリンリーフ流・ビジネスモデル
製品加工と有機栽培で競争優位性を確立

こんにゃく芋を製品加工すれば定価で売れる。澤浦社長は、小売店へのこんにゃくの直接販売を開始した。

「元々が農家だったので、農家が家庭で食べているこんにゃくしか作れなかったんです。(四角い型を使用せず) 手で丸めたこんにゃくを売り出したところ、丸いこんにゃくは珍しいと評判になり広まっていきました。もう一つは、販売先から有機栽培のこんにゃく芋で作れないか?との提案を頂き、加工を始めたと同時期にこんにゃく芋の有機栽培を開始しました」

こうして有機栽培への取り組みはお客さまからの声がきっかけとなったが、もともと虫くい野菜は評価されないと当たり前のように農薬を使う農業に疑問を持っていた澤浦氏は、「自分たちがやりたかった農業はこれ」と、有機栽培への切り換えに躊躇はなかったと振り返る。

左写真:こんにゃく生産を始めた頃
右写真:有機栽培のこんにゃく芋

「生芋こんにゃく」は素材が命。安心と安全を追求することでマーケットが拡大。さらに、一般的な「粉こんにゃく」に比べ、デンプン量が多いため、味染みがよく、歯ざわりが良い。その美味しさから、売り上げは右肩上がり。

次々と新商品を開発し6次化を進める中で、自社や契約農家で作った野菜を使った漬物や冷凍野菜といった分野にも事業を拡大。

生産者が価格を決められる農業経営を実現させた。

こんにゃく製品をはじめとする加工商品のラインアップ

グリンリーフ流・成長戦略
労働生産性の高い農業経営

労働人口減少という課題に直面している日本農業。未来を見据えた成長戦略に欠かせない要素が、生産性の向上。グリンリーフは現在、25名の外国人実習生を受け入れ、人材育成に取り組む。

「外国の方がいることで多様性が広がり、日本人の働く場所も出てくるんです。外国人実習生が役割を全うすることで、年配者が活躍できる仕事が生まれます。そうするとマネジメント能力を持った日本人が必要になってきます。そういった意味で、外国人実習生のお陰で当社は強くなって行けると考えています。」と澤浦氏は語る。

農場で活躍する外国人実習生

指導する責任者も、やる気あふれる実習生は即戦力だと語る。
「澤浦社長が現地に赴き実習生を面接して、日本で農業をやりたい人材を選抜しています。最初から農業のイメージで来ているので助かっています。」

写真左:外国人実習生を指導する責任者
写真右:澤浦氏が海外に出向いて面接を実施

さらに、実習生の能力を最大限に高めるべく、野菜の運搬等に使用する自動車免許の取得や、農業機械(作業機)の操縦・操作といった高度な教育に投資。

また、外国人実習生等との緊密なコミュニケーションのための懇親会はもちろん、海外の実習生の実家を訪問、結婚式にも招待を受けるなど、信頼関係の構築にも心を配る。働きやすい環境を整備することで、優秀な人材の確保を進める。

「大学で農業関係の勉強をしたので、日本の農業関連企業で働きたくて入社しました。この会社は外国人にとって良い環境なので、長く働きたいと思っています。」とベトナムからの従業員は語る。

写真左:外国人実習生が高度な農業機械の操作も行う
写真右:ハノイ農業大学を出て社員になったグエンさん

国内の研修生や外国人実習生達が夢や目標を持ち、働く喜びを得られる組織マネジメントこそが労働生産性向上のカギを握る。澤浦氏はこう語る。

「環境の転換期を迎える現在、生産性の高い農場づくりが実現すれば、(過去の環境転換の区切りともいえる)明治維新から現在までが150年ですから、過去の歴史からみても、この変化を乗り切れば、150年先まで当社は安泰のはずです。150年ぶりの農業転換期のチャンスに、しっかりと投資をして、経営を確立していきたいと思っています。」

「感じて、動く」姿勢を基本に、消費者と働き手に感動を与える農業経営。澤浦社長取り組む改革が、日本農業界の未来を照らす。

上空から見たグリンリーフ本社

澤浦彰治氏プロフィール

1964年、群馬県昭和村生まれ。利根農林高校卒業後、群馬県畜産試験場での研修を経て、家業の農業・養豚に従事。こんにゃく市場の暴落をきっかけに、こんにゃく製品加工を始める。1992年、仲間とともに有機農業者グループ「野菜くらぶ」を立ち上げ、有機野菜の本格生産を開始。1994年、農業経営を法人化し、グリンリーフ有限会社とする。第47回農林水産祭で蚕糸・地域特産部門で天皇杯受賞。群馬中小企業同友会代表理事、日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会理事 等

「株式会社グリンリーフ」データ

年  商:9億3000万円
従業員数:108名
グリンリーフ株式会社HP: https://www.akn.jp/index.php