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食×農の現場から
REPORT | 2018年11月26日

二人三脚でフレッシュハーブ市場を牽引する 〜エスビーハーブセンターつくば・(株)峯ファーム

エスビー食品(株)(以下、エスビー食品という。)は、日本における生鮮ハーブ販売のパイオニアで、生のハーブのおいしさを家庭に届ける「フレッシュハーブ事業」は、2017年(平29年)5月で30周年を迎えた。

極端な暑さや寒さに弱く、輸送にも神経を使う生鮮ハーブ市場の創造に向けて、エスビー食品では研究・開発を続けながら、各地の農家との取り組みを広げてきた。現在は、茨城と沖縄の2か所にハーブセンターを持つほか、全国各地の契約栽培農家のネットワークによるリレー生産体制を構築し、60品目以上のフレッシュハーブとベビーリーフを扱う。

今回は、エスビー食品のフレッシュハーブ事業の中核的な生産拠点のひとつとなる「ハーブセンターつくば」(茨城県常総市)(以下、当センターという。)を訪ね、ハーブ事業部・ユニットマネージャーの伊藤弘敬氏、当センターセンター長の西原洋志氏、そして当センターを共同運営し、センター運営の中心を担う(株)峯ファーム代表取締役の坂入利一氏のお三方に、フレッシュハーブ生産の現場と、食品メーカーと農業法人の二人三脚の経営についてお話を伺った。

左から伊藤氏、坂入氏、西原氏

エスビーハーブセンターつくばの外観

エスビー食品のハーブ事業

エスビー食品は1923年(大正12年)創業、カレー・スパイスを軸に日本の食の多様化を支える企業である。このエスビー食品が「フレッシュハーブ事業」を開始したのは、1987年(昭62年)。その後、2000年(平12年)には「SPICE&HERB」をコーポレートメッセージに掲げ、ハーブ事業をより重要な事業として位置づける。
現在、エスビー食品全体の売上が1,200億円強。うちスパイス&ハーブ部門が約260億円、フレッシュハーブ部門(ハーブ・ベビーリーフの合計)はその1割を占める。
国内のフレッシュハーブの需要は年々拡大傾向にあるが、欧米に比べると人口あたりの売上規模はまだまだ少ない。「ハーブを広め、日本の農業に貢献するためには、今の2〜3倍には増やしたい。そのくらいは軽くやらねばならない」と伊藤ユニットマネージャーは話される。

エスビー食品と峯ファームの出会い

今回伺った当センターは、都心から車で1時間強、茨城県常総市の田園地帯に位置する。そもそも、当センターの竣工は2005年(平17年)だが、この地でのハーブ生産の開始は、1998年(平10年)に峯ファームの代表である坂入氏とエスビー食品が出会ったときにさかのぼる。

坂入氏は1985年(昭60年)に脱サラし、水耕葉ネギ栽培からスタートした。順次規模を拡大し、平成10年にミツバとハーブを導入した頃、エスビー食品と出会う。当時、エスビー食品はハーブの栽培農家を探しており、水耕栽培の施設を導入した農業経営者に積極的に会っていたという。
ハーブ栽培はとても手間がかかるが、ハーブの可能性を感じた坂入代表は、数年間かけてハーブ栽培への切り替えを進め、2003年(平15年)にようやく栽培品目をハーブに絞ることができた。そして、2004年(平16年)に峯ファームを株式会社化し、その翌年に当センターが設立された。
「(ハーブを始めようとした時)まわりに聞いてみたら『面倒だからやらない』と言われた。かえってチャンスだと思った。人がやりたくないというものが、意外といいのかな」と坂入代表は笑う。

峯ファーム坂入代表取締役

当センターの生産品はすべてがエスビー食品向けで、坂入代表率いる峯ファームのスタッフ(栽培・出荷)が日々必要な量を送り出す。エスビー食品からは西原センター長のほか1名が常駐し、緊密な連携のもと、「出荷を止めるのは元旦、2日とお盆1日くらい」という体制を敷く。
なお、エスビー食品フレッシュハーブ事業の基本的なモデルは、各生産地の農家との「契約栽培」。各農家はエスビー食品の技術指導を受けながら、同社が開拓した販売先に出荷する。出荷にあたっては、同社の指導・連携のもと同社から供給される包装資材等を用いて各農家等が各々調整・包装のうえ、直接、マーケットに送り出す。

峯ファームは、現在、鉄骨ハウス4棟、パイプハウス6棟を持ち、ハーブ約1haを栽培する。正社員11名をはじめ、合計60余名が働く大きな法人に成長したが、順風満帆だったわけではないという。「ハーブが全滅したこともある。失敗してここまで来た。みんなができないことができ、技術を教えてあげることができるのが楽しみ。全国にハーブ栽培者の知り合いがいる。」と坂入代表は話す。

多様なスタッフが支える製造体制

全般のご説明を伺った後、ハーブセンター(調整・出荷施設)とハーブを栽培するハウスを見学させていただいた。
調整・出荷施設では、「食品工場ですから」という西原センター長の言葉のとおり、白衣に帽子、マスクを着用のうえ、しっかり身支度を整える。

収穫されたハーブは、その都度施設内に運びこまれ、調整ののち、パック詰めされる。調整の工程はハーブによって異なるが、どれも細かな作業が必要とされるところ、たくさんのスタッフが手際よく処理を行っている。

収穫したハーブの調整

細かい処理を行う

スイートバジルの葉

パック詰めのうえ出荷される

この作業を主に担うパート社員は、近隣住民が中心だ。年齢層は幅広く、子育て期のママたちも少なくない。人手不足の中、定着率はまずまずとのことで、近隣に暮らす海外出身のスタッフもいるとのこと。職場の評判が子供のいる幼稚園などで口コミにより広まり、新たなスタッフ採用につながることもあるそうだ。
しかし、パート社員たちは家庭を抱える消費者でもある。フレッシュハーブがたくさん使われるクリスマスや年末年始、お盆といった時期はなかなか出勤できず、峯ファームでは人員確保と育成に苦労を重ねているが、現在ではお子さんの成長にあわせ、パートタイマーから正社員になった女性社員もいるという。

1日4回の出荷体制。お邪魔した午後2時すぎにもトラックが来ていた。

ハウスでは、スイートバジルをはじめとする18種類のハーブを栽培する。品種によって、何度か葉を摘むことができるもの、都度播種が必要なもの、ローズマリーのように樹のように育つものとさまざま。

主力商品であるスイートバジルの栽培風景

さまざまな品目のハーブが栽培されている

10棟のハウスを管理する中心は、正社員の6名。4人が20代前半という。採用について伺ったところ、専門学校、農業大学校、四年制大学といろいろな学校から人材が集まっているという。求人フェアや求人媒体も使っているが、自社のホームページ(http://www.minefarm.co.jp/index.html)も有効という。ハーブ栽培での就農を志した若者が、「ハーブ」で検索してこのホームページにたどり着き、入社につながった例もあるそう。11月からは正社員がもう1名増える。

当センターのこれからとハーブ事業伸長への取り組み

エスビー食品では、フレッシュハーブ市場がまだまだ伸長することを見込み、峯ファームの生産拡大への期待は大きい。峯ファームでは、地域に根ざした企業として、スタッフ一丸となってより一層の増産に向け日々の努力が続いている。

エスビー食品では、先述のモデルにそって、現在、全国40数か所の契約農家でハーブ・ベビーリーフの生産に取り組んでいる。しかしながら、これからの需要増や担い手高齢化の影響等を見通すと、「まだまだ生産地の開拓・拡大が必要」と伊藤ユニットマネージャーは話される。特に、最近の夏の高温の状況に照らし、精力的に各地を回られている。
日本でのフレッシュハーブの消費は、海外に比べるとまだまだ発展途上である。さらなるハーブ利用の拡大に向け、エスビー食品と峯ファームをはじめとする生産農家の皆さんのさらなる飛躍が期待される。

(中部支部事務局長 内田文子)

<エスビーハーブセンターつくば/概要>
名 称:エスビーハーブセンターつくば
所在地:茨城県常総市篠山686-3
センター長:西原洋志
竣 工:2005年(平17年)1月

<会社概要>
会社名:株式会社峯ファーム(エスビーハーブセンターつくば)
代表者:代表取締役社長 坂入利一(さかいり としいち)
所在地:茨城県常総市篠山637
創 業:1985年(昭和60年)
社員数:正社員11名、パート社員46名、研修生6名 計63名(2018年10月)
事業内容:ハーブの栽培・生産および、ベビーリーフの生産