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2022年3月30日

6次産業化・農商工連携とLFPの違いはイノベーション!?

株式会社食農夢創 代表取締役 仲野 真人

 今年度から農林水産省にて始まった「地域食農連携プロジェクト(LFP:Local Food Project)推進事業」。岐阜県LFPで開発した「家族全員で楽しむ幼児食スープ“GIFUTOSOUP”」は2月15日から3月18日までクラウドファンディングを実施し、1,008,800円(達成率336%)、延べ158人の応援購入という結果となった。応援してくださった方には心より感謝を申し上げたい。
 一方で、今回のLFPに取り組むにあたり各方面から「6次産業化や農商工連携と何が違うの?」や「なぜNPO法人が実施主体なの?」という問い合わせを多数いただいた。今回は6次産業化・農商工連携とLFPとの違いについて筆者なりの考えを述べたい。

◆6次産業化・農商工連携とは?

 6次産業化とは、農業について、生産だけでなく加工・流通・販売等も統合的に取り扱うことで、事業の付加価値を高める取り組みである。(1次×2次×3次=6次産業化)。つまり、これまで生産にしか携わってこなかった生産者が加工・販売まで一体的に取り組むことで所得向上を目指すのが6次産業化である。
 一方、農商工連携は、農林漁業者と食品産業等の商工業者の連携することにより、高付加価値の新商品開発や新サービスの提供を行うことで、新たな市場の創出、農林漁業・商工業の経営向上、地域の雇用・就業機会の拡大を目指す取り組みである。
 この違いは端的に言えば、生産者が実施主体であれば「6次産業化」、2次・3次事業者が実施主体であれば「農商工連携」と考えるとわかり易い。

図表1 6次産業化と農商工連携の違い

◆LFPの目的とは?

 LFPでは、地域経済の持続的発展のために、地域の将来像を見据え、社会的課題の解決と経済的利益を両立させるべく、①地域内外の食と農に関する多様な関係者が参画したプラットフォームを形成し、②異業種等の技術・知見の融合や産業連携による「イノベーションの誘発」、消費者ニーズや消費行動の変化に対応する「バリューチェーンとサプライチェーンの構築」し、③新たなビジネスモデルの創出をする、ことを目的としている。
 つまりLFPとは、生産・加工・流通・販売という従来のサプライチェーンとは関係のない事業者を巻き込み(プラットフォームを構築)し、「イノベーション」によって「新しいバリューチェーンとサプライチェーン」を構築すること目指す取り組みであり、6次産業化・農商工連携からさらに進化した面的な取り組みになっていなければならない。

図表2 ローカルフードプロジェクト(LFP)の目的

◆岐阜県LFPの取り組みとは?

 岐阜県LFPのプラットフォームには6次産業化に取り組む農林漁業者、食品事業者、流通事業者、関係機関など14団体が参画している(LFPパートナー)。そして、岐阜県LFPとして「農村地域の維持・活性化」と「子育て女性の社会復帰」という2つの社会課題を解決することを目指した「消費者(女性)参加型の商品開発による地域循環ビジネスの構築」を目指した。その結果、開発された商品が「家族全員で楽しむ幼児食スープ“GIFUTOSOUP”」なのである。
 このスープは子育てで忙しいママ(パパ)の手間を少なくするだけではく、大人と幼児が同じスープを食べられることによって親子(祖父・祖母まで3世代)で食事を共感できるという魅力もある。また商品「GIFU to SOUP」は「岐阜(ギフ)」と「ギフト」を掛けて「“岐阜って美味しい”を届けたい」という想いで付けられている。

図表3 岐阜県LFPで開発した「GIFUTOSOUP」

◆岐阜県LFPの何がイノベーションなのか?

 岐阜県LFPにおいて何がイノベーションなのか考えてみたい。結論から先に言えば、主体となったのがNPO法人こどもトリニティネットという子育て世代を支援する団体であるという点である。では、なぜNPO法人こどもトリニティネットなのか?今回の「GIFUTOSOUP」では㈱まんま農場が「低温スチーム」でペーストにした岐阜県産を中心とした農産物に下味をつけてスープにしている。
 では、なぜ低温スチーム加工をする㈱まんま農場が実施主体でないのか?すでに㈱まんま農場は自社でペーストを活用した幼児食や介護食も開発しておりこれまでの「6次産業化」の延長でしかない。また、LFPパートナーには㈱秋田屋本店や㈱恵那川上屋も参画しており、それぞれのブランドも確立している。では、なぜブランド力もある食品企業が実施主体ではないのか?秋田屋本店や㈱恵那川上屋と㈱まんま農場が連携して開発した商品であればそれは「農商工連携」の延長でしかないのである。
 そのために岐阜県LFPらしい「イノベーション」として、子育て世帯を支援するNPO法人こどもトリニティネットが自分達の経験や実際に子育て世帯356人に行ったアンケートを基に「こんな商品があったら助かるよね」という想いから作られ、また消費者でもある子育て世帯が開発したことによってターゲット層から共感や応援をいただけるのではないかと期待している。
 そしてもう一つのイノベーションが地域循環型ビジネスモデルである。実施主体はNPO法人こどもトリニティネットであるが、LFPパートナーである阿部農園、石川農園、㈱寺田農園の生産した農産物を㈱まんま農場がペースト加工し、2次・3次産業である㈱秋田屋本店、㈱恵那川上屋、㈱バローHDがブランディングや販路開拓で支援をしていくという地域内でのビジネスが循環することで、生産者にも2次・3次事業者にもお金が落ちる仕組みを目指している。

図表4 岐阜県LFPの事業イメージ

◆イノベーションの形は一つではない

 最後に、岐阜県LFPのイノベーションが正しく、他の都道府県のLFPの取り組みが間違っているということを言いたいのではない。ある地域では100事業者近いプラットフォームを形成している地域もあり、地域の中で一つではなく様々なプロジェクトが発足している地域もある。また、「イノベーション」という言葉の考え方についても人それぞれであり正解はないのだろう。大事なのは「地域食農連携プロジェクト(LFP)」の目的を見失うことなく、地域ごとに「オリジナル」のビジネスモデルを創造することで、「従来の6次産業化や農商工連携とはここは違う!」と自信を持って言える取り組みにしていくことが重要なのであろう。

参考:【ママ考案】大切なひとに食べさせたい栄養満点スープ
URL:https://www.makuake.com/project/kodomotrinitynet/

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